2008.10.27 Mon 19:59

評価:

「容疑者Xの献身」に続くガリレオシリーズ長編2作目。
さすが東野、やっぱり東野、としか言いようのない面白さ。
今回湯川が挑む相手は女、そして完全犯罪。
警察官としてあくまで正しい線から捜査をする草薙、
女性刑事特有の勘を働かせて謎を解こうとする内海、
そして突きつけられた難問に科学者として立ち向かう湯川。
立場も役割も違う3人それぞれの苦しみ、そして葛藤・・・
理屈で割り切れない感情の揺れ動きがとても切なくて、
どんどん物語に引き込まれていきました。
それでいて、、メインの謎解きには非常に頭を使わせられます。
緻密なトリックに隠された人間の深い心理、
これこそが東野圭吾の真骨頂でしょう。
”読めた”と思ったらそれはもはや騙されたのと同じ、
実はその裏にもう1枚、いや2枚、捲るべきベールが待ち受けています。
そしてようやく真実にたどり着いたとき、
読者はまずその発想に唖然とさせられ、そして、強い衝撃を受ける。
その瞬間の快感に虜になり、そしてまた彼の作品を手に取ってしまうと、
もうそこから先は溺れるようにただ東野ワールドに浸かってゆくだけ。
「容疑者X~」が好きな方なら間違いなしの1冊。
人間の愛、憎悪、それらが生み出すありえない出来事・・・。
そして最後にタイトルの意味が分かったときは、もうため息さえ出てきます。
読み始める際には必ず徹夜を覚悟してください。
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