2009.01.25 Sun 23:22

評価:

これぞ本来の東野圭吾
東野さんのダークな部分が存分に露出されている作品。
好きな人はきっと「これぞ本来の東野圭吾」と感じるでしょうが、
合わない人にとってはとことん嫌悪を感じる作品なのでは。
裕福な家庭に生まれ育った主人公が、
ある一人の男によって人生を狂わされてゆく、ただそれだけの話。
驚くような仕掛けや派手さは全くないし、物語の展開も大体読めます。
が、こういう作品を「読ませる」力量こそがこの作家の凄さだと思うのです。
簡単に騙される主人公の弱さには非常にイライラしますし、
他人に自分の人生を指南されるなんて、そして転落へと誘導されるなんて、
そんなことがあっていいものかと気分が悪くなります。
「なんでそうなるの、なんで断らないの」とうんざりしながら読みました。
不気味でミステリアスな雰囲気は「白夜行」と少し似ていますが、
こちらは一人称で語られているので主人公に感情移入しやすかったです。
こういう作品は、予めその「さわり」だけでも知って読んだほうが、
より物語に没頭できると個人的には思います。
何も知らずに「どんな作品なのだろう?」とワクワクしながら読むと
期待を裏切られてしまうことになりかねませんのでご注意を。
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