2010.03.09 Tue 14:37


世界の終わりにあなたはどう生きるか
「8年後、小惑星の衝突により地球は滅亡する」と発表され、
人々は混乱し、パニックに陥り、そして世の中の秩序は失われた。
それから5年が経ち、嵐が過ぎ去った後のように静かになった世界で、
絶望と戦いながらも己の人生を見つめなおし、
最後までそれを全うしようとする人々の姿を穏やかに描いた連作短編。
こういう作品は、いい作品かそうでないかは論じられない。もう好みの問題だと思う。
このSFチックな設定で「生と死」というデリケートなテーマについて、
果たしてどれだけ感情移入して読めるのか。ただそれだけだ。
そういう観点での私の評価は、やはり他の伊坂作品よりも少々低めだ。
伊坂さんの作品はたいてい心の状態が安定している時に読むのだが、
これこそ平和で幸福な時に読むべき作品なのかもしれない。
少々浮世離れした彼の独特な世界観は、
自分が悩みや問題を抱えて不安定な状態の時に読んでも正直ちんぷんかんぷんで、
そのメッセージが心にスっと入ってこない。
心から邪念を取り払い、真っ白で穏やかな気持ちで読むのに適した作品だ。
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