2008.07.15 Tue 19:16
評価:
「リオ」と続けて読みました。
こちらでは、樋口の妻・恵子が何者かに"誘拐"されるという事件が起きます。
そこで彼は独自の捜査を行う決断をするのだが、
助けを求めたのはやはり前回コンビを組んだ荻窪署の氏家。
しかし、犯人探しのミステリーではありません。
二人は前回同様、心の闇を抱えた犯人の深層心理に迫っていき、
被害に遭った恵子もまた、彼女なりに顔の見えない犯人のベールを剥がそうと試みます。
樋口と氏家の視点、恵子の視点、それぞれから浮き彫りになっていく犯人像。
それぞれが考える"家族"のあり方―
ここでもまた、夫婦の絆や親と子の繋がりがテーマにされています。
心のバランスを保つために、人は誰でも少しくらい強がって生きている。
裏の顔があって初めて表の顔が存在するのかもしれない。
まさに"表裏一体"だ。
この犯人だって実際そうやって世の中を生きていたのだが、
そうしなければいけなかった理由は明らかに育った家庭環境にあった。
間違った教育が歪んだ心を形成してしまう、その恐ろしさと悲しさ・・・
二作続けて深く胸に突き刺さりました。
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